[昭和五十五年三月 ひかり幼育園新園舎竣工式奉曰文]
 細川 巌

(前略)

 昭和四十一年、福岡教育大学仏教研究会用地を購入して以来、学生寮(巌松寮)、仏教会館(巌松会館)を逐次建設し、仏教精神を中心とした学生数育と仏教の研鑽に努めてまいりました。昭和五十年四月、その活動の一環として保育園をはじめましたが、これ一重に仏教保育を通して人格形成の根本を培うと共に、地元宗像町住民各位との交流を願う気持ちのあらわれにほかなりません。

(中略)

 思いますに、幼児の保育は現在、まことに重要かつ緊急の事柄であります。この子たちが成長して社会に活躍する時機は二十一世紀であり、この子たちは文字通り新しい世紀の担い手であります。二十一世紀はおそらくわが国のみならず、地球上の人類ことごとくが迎える最大の危機の時代であります。資源の枯渇、人口増加による食糧難、環境汚染その他、さまざまな困難の中で、全地球の運命を背負って人類全体の幸福を考えなければならない。それがまことに、この子たちの役割であります。

 その厳しい時代を担う力の素地を、ぜひつけておきたい、これが切なる私の願いであり、このひかり幼育園を経営する理由であります。この激動の二十一世紀を生き抜くために必要なものは、学歴よりも人間としての実力でありましょう。それは私利私欲を離れて、全体のために尽くし、他の人々と協力できる協調性と実行力、すぐれた体力と独立心、そしてそのような人間としての根本に、祖先と神仏に合掌する謙虚な心、これが必要と思います。幼い子たちがどうかこのような人になってくれるようにと願いながら、職員と共に進みたい念願であります。

(後略)