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若人よ。わが愛する若人よ。私は君たちを見ること、接することがこの上なくうれしい。この心を仏天のあわれみましましてか、来る講習も来る講習も若人によって満たされてある。初めてわが光明団の講習に来た人は、あまりに青年によって満されているのに驚かれるようである。ああ。若人。君たちを思うと、熱いものの胸に満つるを感ずる。
一 若人よ精進せよ。
時を惜しみ、体力生命力を乱費することなく精進せよ。
「少年老イ易ク学成り難シ 一寸ノ光陰軽ンズ可カラズ 未ダ醒メズ池塘春草ノ夢 階前ノ梧葉已ニ秋声。」
我すでに五十有四、今静かに秋声を聞くにあたって、春草の夢若々しき若人に向かって「若人よ、精進せよ」と全身全霊を声になして叫びつづける。
なにゆえに若き日を怠け、若き日を惜しんで精進しないのか。今は父あり母あり兄弟あり、だらしなき不精進の言いわけをして、責めを他人に負わせていることもできよう。しかしいつまでも親はいない。やがて壮年となり老人となった時、因果業報(※1)ようやくその身に現われるに至って悔いを千載に残すであろう。
若人よ、怠りを戒めて精進せよ。青年の美しさは精進にある。不精進の者には必ず幾多の不善を具するであろう。
ニ 若人よ強くなれ。
牛のごとく、象のごとく、強くなれ。真に強いとは、一道を生きぬくことである。性格の弱さ悲しむなかれ。性格の強さ必ずしも誇るにたらず、「念願は人格を決定す。継続は力なり。」真の強さは正しい念願を貫くにある。怒って腕力をふるうがごときは弱者の至れるものである。悪友の誘惑によって堕落するがごときは弱者の標本である。青年よ強くなれ。大きくなれ。
三 若人よ「物腰を低く、気迫を大きく」持て。
謙虚なる者は必ず仰いで大空を見る。高慢不遜なる者は必ず小事に因われて大成することなし。至れる謙虚は金剛の信念とともにあり、金剛の信念は至れる謙虚とともにあり。金剛の信念なき謙虚は謙虚にあらずして卑屈であり、謙虚なき金剛の信念は信念にあらずして我執我慢にほかならず。若人よ気迫を大きく持て。君らの中からは、文化日本、道義日本の建設者が出現しなくてはならぬ。この民族の苦悩の中から、地球を七巻きするような大いなる気迫の人が生まれなくてはならない。
四 若人よ名利(※2)を越えよ。
われらは決して名を求めて動いてはならない。何も名高くなる必要はない。人に知られることを要しない。英雄を求めず豪傑を必要とせず、ただ、汝自身を充実して一道にあれ。重ねて言う。「念仏して自己を充実し国土の底に埋るるをもって喜びとなすべし。」
五 若人よ正直なれ。
大きくなりたいなら正直なれ。人に裏切られても正直なれ。艱難に当っても、逆境にあっても、正直を失うなかれ。正直とは真直に歩むことである。「真直に真直に。ただ真直に。難関にぶち当れはさらに真直に。念仏道を真直に。」
六 若人よ善き友と良き師長とを得て、常に光の中を行け。
善友善知識なくして向上せる一人の人なく、悪友悪知識なくして堕落せる一人の人なし。蓮師の「御一代聞書(※3)」に言わく「その人を知らんと思わば、その友を見よといえり。善人の敵とはなるとも悪人を友とすることなかれという事あり」と。
七 若人よ金剛の信心(※4)に生きて世の光となれ。
一生聞法精進不退転の行者となれ。光と喜びと敬と愛とは君の上にあるであろう。
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