<上巻>第一章 若人よ一道にあれ

98
性格の強さ必ずしも真の強さにあらず
  性格の弱さ必ずしも悲観するに足らず
真の強者とは何をいい弱者とは何をいう
  いわく 一道に生きて変わらざるを強者といい
  いわく 道において退転するを弱者という
雨にも風にも火にも水にも
  清浄なる願往生の一道にあれ
たとい凡俗無責任の疑謗にあうも
  諸の聖尊の重愛汝にあらむ



123
道を求めることなき人の一生は
そのままが死んでいる
雪も 雨も 坂も 海も さらに火も越えて道を求めるもののみ
永遠不死の大道は開かれる
一度求めても得られぬ
二度 三度突進しても解決がつかぬ
されど 汝の胸底には
何物かの力が頭をもたげてじっとしていることをゆるさぬではないか
無上正真の一道
進めよ進めよ 二度破れても三度出でよ
三度与えられずとも四度五度立ち上がって精進せよ
求める者にのみついに解決は与えられる



164
強く生きたいか      
それについてはっきりとした断案がほしいのか
はっきりとした答えがある
人類総がかり 全宇宙総がかりで 理想を実現しつつある大きな流れがある
それをはっきり認識して
その本流の中に我を見いだし
その大業に参加せよ
手に持つ苦杯も歴史的意義において
汝に決して失望を与えないであろう
汝は偶然の存在ではなくて
歓喜と信念と希望と使命に輝く希有人である



195
青年よ
哲人であれ
ものを深く考える哲人であれ
一切を疑う苦悶の日を持て
しこうして明確なる断案を握る哲人であれ
青年よ
強者であれ
名刀のごとき強者であれ
失敗してもいい おびおびするな
七転八起の強者となれ
社会人類は名刀のごとき汝を待つ



413
若人よ
くれぐれも君に同情する
だがわたくしは 君の周囲が悲惨であり 淋しく孤独であることに同情するよりも
もっと、君が温室の花のごとく 今日まで弱々しく育ってきた君の過去の幸福に同情する
若人よ
その逆境を喜べ
枯れる葉は枯らせよ 落ちる花は落とせ
しこうして今一度
霜雪と戦って 芽を出し枝をのばし 花を咲かせよ
汝の真価は ただそこからのみ生まれ
汝の光は 苦闘によってのみあらわれる
あえて叱咤す
青年よ 涙の谷底より起ち上がれ



390
平凡でもいい 一筋道をゆけ
職業でも 勉学でも 信仰でも ただ一本道を走ってゆけ
一心になった時 何かができる
一本道になった時 腰がきまる
腰がきまった時 その心に輝きが出る
輝く心は悦びを感ずる
一つの念が生まれる 何年続きました
十年続いたと聞く時に
その中心には誰かがいる
一本道を歩まずにはいられぬ誰かがいる
幾度も熱涙をかみしめて すべてを忍んだ人がある
中心人物がいて 自分の事のようになんでもやる
一心にやる
腰掛気分や 名利のために動く者に大した人物はない



535
「蓮如上人 幼少なる者には まず物をよめと仰せられ候」
若い者にとっては 読むということは しなくてはならぬ大きな修養の一つであります
学ぶことのない人生 読むことのない一生は それは悲惨であります
人の世の幸福の大部分は抹殺されてしまいます
教育が行われたり 出版事業の大発展をとげた今日では
読むこと学ぶことは 若い者にとっては
課せられた あるいは与えられた生活そのものであります
読書費に一ヶ月一銭も費やさない人
二十四時間をすこしも読書にさかない若者があるだろうか
遺憾ながらそれをないと否定することはできません
蓮如上人とともにまず 「読め」と言いたい



41
汝は今
  大きく大きく動こうとする
だが一寸まて しこうして考えよ
  何のために動くのか
  どんな心が根底で動くのか
  いかなる手段を取ろうとするのか
その十分間の沈黙が
  やがての日の千里の間違いを正す



21
人になろう 人がいない
一人前の人になろう 一人前の人がいない
口は立っても手がきかぬ
学はあっても徳がない
徳があるようで 力がない
力はあるが 身が治まらぬ
何もあるけど熱がない
人になれ 役にたつような人になれ



469
煮ても焼いても
食われない人物になれ
金でも食われず
地位でも食われず
悪罵にも好評にも
火にも水にも動かぬ人物になれ
何かを怖れるものに何ができるか



396
一切の人間を人間線上まで引き下ろせ
一切の人間を人間線上まで引き上げよ
そうして「おい兄弟よ」とよびかけよ
どこに人間の上に人間があるか
どこに人間の下に人間があるか
大地の上は日に日に荒む それは一体なぜなのか
限りなくのびゆく唯物主義の末路よ
いかなる高級な哲理も それが人間の赤い血潮を認めず
熱い涙を眼中におかないものであるならば
限りなく人間生活を建設しようとする者に
満足を与えることはできない



519
マルチンルーテルのように
外に向かって攻撃文をつきつけるべきではない
それはいつも 内に向かってなさるべきである
われらの歩みに向かってなさるべきである
したがって わたくしは わたくしの周囲
わたくしに近い人にほど厳しくせまる
決して 人間的なものを出して狃れあってはならない
いっしょに長い間歩めば歩むだけ
大法によって結ばれていなければならない



22
頭を下げよ 御恩がわかる
頭を下げよ 教えが聞かれる
御恩が知れたら 働かずにはいられぬ
教えを聞いたら道が開ける
道の上に立って働く者にだけ
生きていることの嬉しさがわかる
頭が高いから不平が出る
教えを聞かぬから道が見えぬ
頭を下げて教えを聞け
信仰の天地が そこにある



23
苦しいことも続きはせぬ
楽しいことも続きはせぬ
悲しいことも続きはせぬ
嬉しいことも続きはせぬ
腹が立つのも一時だ
残念なのも一時だ
流るる河の水を見れば淵も瀬となる滝となる
変わるよ変わるよ もの皆が 
花は青葉に青葉は紅葉
冬の木立に芽がふいて
四季折々に変われども
生きた力は変わらない
びくびくするなびくつくな
忍んだ次は春が来る



35
仏はいずこに生きるのか
  仏はだれに生きるのか
仏はいつ生きるのか
  今
  ここで
  汝の上に
仏生き給うことに徹底せよ
  今日の生活をぬきにして
  いずれの所に宗教があろう



489
師ましまさぬ人生に光はない
師ましまさぬ生活に力はない
師ましまさぬ一日に進展はない
意義はない
喜びはない
世尊よ 聖人よ



472
深い海に大きな宝があるように
深い苦悩の中には
そこでしかあり得ない宝がある
ほしいのは大信の手である
大信を獲得することが
人生を解き
人生を感謝し
人生にふれることのすべてである



536
太陽はかって一度も お前のために照ると言った日がありません
彼は風が出ようと 雲が出ようと
感謝しようと 感謝すまいと それに関係なく
彼は彼自身の相に輝きます

「あれを見よ 深山の奥に花ぞ咲く 真心つくせ人知れずとも」

三年に一度も人の見てくれぬ 深山の奥の桜さえ
彼自身の相に咲きほこります
彼は一度も 汝等のためと言いませぬ
しかし彼が彼自身であることがそのまま 人の世界をにぎわし 楽しませます
彼は自然の相に生きるのです



208
強くなれ強くなれ
もっともっと強くなれ
強くなって 汝に勝ち 苦悩に勝ち 人生に勝て
汝が人格の主の王座に生きる時
汝の生活の重点は汝自身の内奥にのみおかれる
弱き弱き善人よ
強き強き悪魔よ
何ゆえ人間本然の相に立ち返り 汝自身の本当の相に立ち上がらないか
汝の腹定まって家定まり 国定まり 大千世界定まる
この金剛大寂定の境地なくして 
何らの人生ぞや 生活ぞや
魂なき幽霊群と理想なき悪魔巷に満つ
汝をまずこの暗黒界より救い出せ



209 
深くなれ深くなれ
もっともっと深くなれ
何という浅い笑い方 何という浅い泣き方であることよ
浅薄な思想 浅薄な感激 浅薄な人生観
大波に漂う小船のように流されて
その日その日がいつしかに過ぎてゆく
無限の暗がその現前脚下に横たわる
何ゆえに大胆にその暗に徹せざる
無限の光が 彼の岸より現実を照らす
何ゆえにその光に徹せざる
無限の光 汝の底なき暗を照らすに覚める時
汝は智慧の所有者として深い人生を生きるであろう



538
一筋の道を歩めば 必ず大成します
一筋の道を歩めば 必ず輝きます
一筋の道を歩めば 必ず歓喜が生まれます
一筋の道を歩めば 必ず力が生まれます
一筋の道を歩めば 必ず尊敬が生まれます
一筋の道を歩めば 我が真実の相が知られます
一筋の道を歩めば 人生の真相がわかって来ます
一筋の道を歩めば 必ず人格の上に誰も犯すべからざる筋鉄が通って来ます

親鸞聖人が聖人たる所以は
念仏道を一貫して行歩なさったからであります
しかも
その一貫相続の行歩が 宗教においてなされたからであります
根本真実の上になされたからであります



194
泣くべき日に真に泣かず
苦しむべき日に真に苦しまず
恥ずべき事を真に恥じず
そこに徹底して明るき生活のあることなし
苦難来たるも喉元すぐれば熱さを忘れ
罪悪のぬかるみに陥るも 魂しびれて慚愧なく
矛盾に遭遇するも 徹底的の解決を求める心なし
凡夫の悲哀なるかな
信は深き懐疑の母胎より誕生し
強き明るき生活は 深き輪廻の極地に開く
真に笑わんとすれば真に泣け
問う 汝に全我をあげての求道の日ありたるか
人生はただ精進の中にあり



387
火事があったら亡んでしまう程度の幸福がある
老人になったら亡んでしまう程度の幸福がある
貧しくなったら消えてしまう程度の幸福がある
病気になったら消えてしまう程度の幸福がある
今の立場から去ったら無くなってしまう程度の幸福がある
死が来たら何もなくなる程度の幸福がある
われわれは深く考えてみたい



33
ぺてんでもだめ
  策略でもだめ
へつらいでもだめ
  悪口はなおさらだめ
正々堂々と
  天地の道理に従い
  不断に精進努力せよ
生きる道必ず開く



442
同じことを思いつづけるのがよい
一つの言葉を
ずっと頂きつづけるのがよい
御信心とは
一生続けて頂いても
ついに無くなることのないみことばを
頂いたのであるとも言うことができる
一つの言葉をずっと心にかみしめて
一歩一歩人生の旅を続ける人は
他の人には知れようのない
生活経験というものを受け取ることができる



193
勝て!
断じて勝て!
本質的に勝て!
勝利者でなくて真の人生を生きたといえるか
順境にも勝て 逆境にも勝て
健康の日にも勝て 病気の床にも勝て
運命に勝て 汝自身に勝て
賞讃の中に勝て 非難迫害の中に勝て
勝って勝って勝ち抜く者の力こそ願力であり
この希有最勝人の名こそ南無阿弥陀仏である
しかりしこうして真に勝つとは何ぞや
これ汝に与えられた課題である



210
汝の強敵何処にありや
村の強敵何処にありや
国を危うする病魔や何処
人類を悩ます悪魔や何処
いわく 獅子身中の虫
これを称して「我」とよぶ
時は今 過去の我の迷妄の
一切清算される時
人類よ 我の一切を克服せよ
   無我!
   無我!
無我こそ人類の問題を解決する唯一の光であり力である



549
口をつつしむこと
手で人を殺すことも 手に合わない
足で人を蹴ることもようしない
眼では問題は起きない
耳が人を裁きはしない
大方のことは 口である
人を暗くするのも 人を殺すのも 人を活かすのも
何もかも口がする
口こそは 実に一大事であります
ですから 三業は 口業 すなわち 称名を中心とするのであります
言葉をつつしむこと
念仏申すこと



34
いのち限りなきみ仏
  ひかりはてなきみ仏
一切衆生の
  一人をも捨てたまわぬ
仏の心を心として
  今日一日を生かされん
  未来永劫に生きぬかん
尊きみ法を糧として



50
名利の奴隷 愛欲の下僕
  泣くもこれがためなり
  笑うもこれがためなり
ただこれを追いて無明の迷路に驀進し
  極愚極悪にしてこれを知らず
  しかも言を極めてこれを飾る
大法に耳をかさず道真を求めず
  己ただ一人賢し……
  止んぬる哉 凡夫の正体



60
人生まれて精進せずんば
  たとえば樹の根無きが若し(往生礼讃)
無上菩提の大樹は
  ただ 精進によりて育つ
  汝 精進せよ 永劫に精進せよ
されど精進は三毒煩悩より生まれず
  如来寂静のみ胸より生まる
純一無雑なる大信念仏の持続
  よく寂静無為の楽に通ず
これをおいて精進あることなし



234  
洋々たるかな
如来本願の大信海
衆生一切の差別を呑んで永遠に寂々たり
衆生一切の智愚を滅して永遠に湛然たり
男 男を救わず 女 女を救わず
男 女を救わず 女 男を救わず
男女老少 貴賎道俗を簡ばざる如来本願海のみ
一切衆生をそのままに救う
身命を捧げて仏道成就せざるべからず
しかも大胆に 大信海に帰入して
非行非善の大行に摂取されざるべからず
差別の現実に囚われて 邪見我慢なるを大悪というべし
小智の計いに囚われて 如来の本願海を疑うを至愚というべし
仏智のみこの智愚の毒を滅して大信心を成就したもう



448
足もとを見つめて歩け
私は毎日の旅にこのこと一つを自分に言いきかせている
私の旅に大事なことはこの事がたった一つである
足もとを忘れたために傷をうけたり
毒虫にかまれたりして困ったことが度々ある
見よ 一切の人が 一切の主義者が誰も彼も足もとを忘れては倒れてしまったではないか
全体主義が足もとを忘れたら 個人主義が足もとを忘れたら
共産主義が足もとを忘れたら 何でも皆倒れてしまうのだ
足もとを忘れるのは鹿を逐う猟師だけではない
お前の旅にはいつも悪魔がついている
名利の悪魔だ
足もとを忘れた時お前はこの悪魔に誘われて小路に迷路に入ってしまうのだ
足もとを見つめて歩け いつまでも



425
若い人は 賢くなろうとばかり考える
無理のないことである
御恩を知るというようなことは、古臭いことだと思う
しかし それは大変な間違いである
恩を知らぬ者は必ず 狭い世界に生活し
恩を知る人は 豊らかな広い世界に呼吸する
小賢しくて恩を忘れる者は 悪事を働き やがて身の破滅となる
愚かであっても恩を知る者は
その歩みが忠実であって 必ず世間に尊重せられ 人に愛せられる
恩に報ゆるに 恨みをもってし 私情をもってするを反逆という
反逆者は反逆者を友とし
反逆の理由を恩人の欠点の上に求めて 己を省みず
その己を知らざることだけでもすでに
自ら墓穴を掘るものである



420
かなり人間が充実しないと 忍従の徳は現われない
忍び得ない者には絶対に
一本道を生きぬくことはできない
かなり人間が充実しないと
悪罵や誤解の中に沈黙して歩むことはできない
小牛ほどの岩は 一人や二人の力では動かない
象ほどの大きさでも 綿では物のおもしにならない
貫碌なくして 人を圧しようとすれば 反感を買い
人格の内面が充実すれば
おしつけないでも 人は自然に頭を下げる
自己が空虚であるほど他人に万全を求め
生命の充実したものほど
自己の足らざるを知って 他人の短を許す



24
「ああ私は行き詰った・・・」
子供の上にもこれがある
大人の上にもこれがある
しかし自暴自棄してはなりませぬ
浮くも沈むもこの時です
家を出るにも及びませぬ あわてることもいけませぬ
自殺などとはもっての外です
じっと忍んで道を聞け
行き詰った時我が相のほんとが見える
友の一言も飢えた心の食となる
行き詰ったそのどん底から必ず必ず道が開ける
そこに開けた道だけがあなたの真の道なのです
この道を見いだせた時
あなたは前よりももっと力が生まれます
人生創造とはこうした世界の連続です



462
重々しい人生の歩みは
仏の教えの言々句々を重々しく受け取ることによって生まれる
「尊重すべきは世尊」であり 聖賢であり、聖人である
しこうして 世尊聖人を尊重するとは その教えを尊重することである
世尊聖人の御教えの前を素通りするものは
おそらくは人生を素通りするものである
何と我の素通りの多かったことよ
口に摂りし美味美食は 去って見れば あとかたもない
耳に聞いて身にしみた教えだけは 年経るままに
いよいよわが身の真の身代であることが知れる



386
我らの住む世界はあまりに複雑に あまりに騒々しく
あまりに便利に あまりに軽薄に あまりに落ちつきがなくなった
かくして人びとは
電車の音 ラジオの声 自動車の爆音 政治の雑音 争闘の叫び声に 耳や目を奪われて
今日をも明日をも永遠をも考えない人たちになってしまう
そうして 機に乗じて 濡手で粟のつかみ取りのような考えへと走ってゆく
ああ永遠の勝利
彼らはこんな言葉を 狂者愚人無能者のたわごとだと言ってしまう
ああ偉大なる狂人はいないか
徹底せる聖親鸞やソクラテスのごとき愚人は出でざるか
崇高なる無能者は生まれざるか



366 
耳をそばだてて聞け

路傍の老婆の口にも尊い教訓がある

一頁の書にも 汝の一生を支配する文字がある

教えは平凡でもいい

活かしてきたら非凡になる

活かすか殺すかは汝の自由である



325
行手はるかに 大波が見える 大概はその波を見て 行かれないものと決定する
熱の子は その大波につきあたる つきあたったその瞬間に その波は消えている
行手はるかに 大山が見える 議論の子は 大山を議論の種にして進もうとしない
熱の子は すぐその大山に歩みを続ける 歩むことそれ自身が問題である
大山につきあたるその一瞬間 大山は消えている
かくして熱の子は 幾度でも試練にむかっては突進する
私にはその力はない けれども私には 大悲白熱の力がある
無碍の一道を進ませられている
そこには何の碍りもない 行くところ 何物も砕けているはずである
頭では誰でも知っている それなのにどうしたのかできない
そこには足りないものがある 熱である 私は熱を愛する 熱の人を求める
重ねて言う 熱とは涙もろい性癖をいうのではない
線香花火のようにパッとする人でもない
いかなる苦しさとも戦って行く 底力のある人である
小さい事にすぐ動揺しない人である



274  
汝 未解決の問題をそのままにして 時を過ごすことなかれ
未解決の問題を内に持ちつつ時をすごすは
奥歯に物のはさまりて 苦しきままに暮らすがごとし
未解決のこと汝の心の底に沈滞すれば
苦悩 愚痴 呪咀 闇黒 不平 恐怖 無気力 不安 焦燥
さまざまなる毒素心内に充満して 必ず明朗なる道を失うべし
謝るべきを謝らずして 遠く去らんとす これ問題の解決にあらず
解くべきを解かずして いたずらに胸に秘めんとす これ問題の解決にあらず
一切を教えの前に投げ出して 直ちに解決を得よ
いかなる問題も この世のこと この世に解けざることあるべからず
人生根本の問題 これを生死の一大事となす 
この大疑団を解くものは 浄土の真実教である
信心の智慧によってこれを解き得たる者を
仏は広大勝解者と讃えたもう



465
家に仏壇があり 仏間があり
そしてそこが一家そろって
朝夕念仏し み教えをいただく一家は
世にも尊くもまた恵まれた家庭であります
如来は
妻子眷属の人間愛憎の世界を
そのままに 浄化し 聖化して
白蓮華の咲く道場にして下さるのであります
家が、畜生道であるか 餓鬼道であるか
それとも 道の成就する道場であるか
考えてみなくてはならぬことであります



259 
結婚して新しく家を成さんとする人に捧ぐ
今日初めて嫁ぐ人の子よ 今日初めて娶る人の子よ
御身らは今長き人生の旅路に立たんとする
雨風荒き日もあろう 山坂峻しき時もあろう
共に合掌して敬と愛とに結ばれて出発せよ
敬と愛とは和の道なり 和成って初めて妻は我なり 夫は己なり
敬愛よく一生を貫いて 後に至って乱るることなかれ
家を地獄への門とするか 家を浄土への道場とするか
仏道なくんば 妻(夫)は輪廻の媒 子は三界の枷たらん
ただ釈迦親鸞の教えに順い 念仏中心の生活を成就せよ
如来の大悲光明のみ 愛欲を浄化して 互に同行善知識たらしめたもう
人間出世の本懐は ただ真実の教行証を敬信して不滅の大道を顕彰するにあり
今に至って静かに父母祖先の広大なる恩を憶い その深き慈愛を感謝せよ
ああ かくして不滅の光 永遠に御身らの上にあれ



510
正道をにらんで歩むことは さびしい
しかし邪道はなおさらさびしい
黒沢村第一の念仏者がついて来るように歩んだら間違いはない
出るの逃げるのという必要はあるまい
何 あの静かな七曲の入口の方へでも 草庵を結んで
念仏の一道を歩むさ
そしたら諸菩薩大士が雲集するよ
道をゆけ 道をゆけ
決して危険はない 四十二年の生活でよく知らせていただいた
群賊の声は 群賊の声
仏の声は 仏の声



511
念仏のみ 若の家にて候
念仏のみ 若の身代にて候
念仏のみ 若の生命にて候
他は一切そらごとにて候
あってもなくてもよく いやでもついてまわるものに候
人は真空管の中にはおらず
依正不二 その心に応じたる境界相あらわれ候也
何より体を大事に心を安らかに養いたまえ 
(以上二首は、大森忍氏あて書簡)



466
「一日の行事尊重すべし 一期の行歩尊重すべし」
凡夫は時の移るままに 今日一日 今日一日を無自覚に過ごし
そして一生を無意味に終わる
しかし、無意味にしたことも やがては それが大きな意味をもって迫り 苦悩の大因となる
我を反省すれば だれでも思い半ばに過ぎるものがあろう
他日泣かねばならぬ種は大概そこから発している
とにかくにも 今日一日だけ、石橋をたたいて渡る気
水さえ噛んでのむ気 足もとに気をつけて歩ませていただく
大法を憶念しつつ わが心の相 口の言うところ 手のするところ
今日一日気をつけて生きさせていただこう
一生を台なしにするような大失敗も
一生を輝きあらしめるような出発も
或日の今日なされるのである



261 
拝むべきを拝まず 信ずべきを信ぜず
知るべきを知らず 思うべきを思わず
願うべきを願わず 求むべきを求めず
力を入るべきに力を入れず 忘るべきを忘れず
報ずべきを報ぜず 謝すべきを謝せず
黙すべきを黙せず 言うべきを言わず
なすべきをなさず なすべからざるをなす
尊重すべきを尊重せず 捨つべきを捨てず
無明によって眼を失い 疑惑によって耳を失う
顛倒の生活 そこに生まれ 流転の苦悩 はてしなく続く
智慧の光なきがゆえに 微塵大の小苦も山のごとき苦患となる
智慧光ほのかに照らしたまい この顛倒の妄相の信知せられるところ
永遠の白道現前に顕現したもう



411
若き日 それは人生の朝である
朝が一日中でも一番大切な時であるように
若い日は人生で一番貴重な時である
だが若い人は それだけ
若い時を貴重なものに思っているであろうか
若い日が過ぎ去った時
どれだけ若い日が大切なものであったか知れるであろう
若い日には相当 真剣に生きた気でも
過ぎて見ると足らなかったことがわかる
そうした悔いをもつ者はわたくし一人であろうか
若人よ どうか真剣に歩んでくれと
切念せずにはいられない



560
 青年よ。わが愛する青年よ。わたくしは君たちを見ること、接することがこの上なくうれしい。この心を仏天のあわれみましましてか、来る講習も来る講習も若人によって満たされてある。初めてわが僧伽の講習に来た人は、あまりに青年によって満たされているのに驚かれるようである。
 ああ、青年。君たちを思うと、熱いものの胸に満つるを感ずる。

一、青年よ。精進せよ。
 時を惜しみ、体力生命力を乱費することなく精進せよ。
 「少年老い易く学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず。いまだ醒めず池塘春草の夢。楷前の梧葉已に秋声。」
 われすでに五十有四、今静かに秋声を聞くにあたって、春草の夢若々しい若人に向かって「青年よ、精進せよ」と全身全霊を声になして叫びつづける。
 なぜに若き日を怠け、若き日を惜しんで精進しないのか。今は父あり母あり兄弟あり、だらしなき不精進の言い訳をして、責めを他人に負わせていることもできよう。しかしいつまでも親はいない。やがて壮年となり老年となった時、因果業報ようやくその身に現われるに至って悔いを千載に残すであろう。

 青年よ、怠りを戒めて精進せよ。青年の美しさは精進にある。不精進の者には必ず幾多の不善を具するであろう。

二、青年よ。強くなれ。
 牛のごとく、象のごとく、強くなれ。真に強いとは、一道を生きぬくことである。
 性格の弱さ悲しむなかれ。性格の強さ必ずしも誇るに足らず。「念願は人格を決定す。継続は力なり。」真の強さは正しい念願を貫くにある。怒って腕力をふるうがごときは弱者の至れるものである。悪友の誘惑によって堕落するがごときは弱者の標本である。青年よ強くなれ。大きくなれ。

三、青年よ。「物腰を低く、気魄を大きく」持て。
 謙虚なる者は必ず仰いで大空を視る。高慢不遜なる者は必ず小事にとらわれて大成することなし。至れる謙虚は金剛の信念と共にあり、金剛の信念は至れる謙虚と共にあり。金剛の信念なき謙虚は謙虚にあらずして卑屈であり、謙虚なき金剛の信念は信念にあらずして我執我慢にほかならず。
 青年よ気魄を大きく持て。君らの中からは文化日本、道義日本の建設者が出現しなくてはならぬ。この民族の苦悩の中から、地球を七巻きするような大いなる気魄の人が生まれなくてはならない。

四、青年よ。名利を越えよ。
 我らは決して名を求めて動いてはならない。なにも名高くなる必要はない。人に知られることを要しない。英雄を求めず豪傑を必要とせず。ただ、汝自身を充実して一道にあれ。重ねて言う。「念仏して自己を充実し国土の底に埋もるるをもって喜びとなすべし。」

五、青年よ。正直なれ。
 大きくなりたいなら正直なれ。人に裏切られても正直なれ。艱難に当たっても、逆境にあっても、正直を失うなかれ。正直とはまっすぐに歩むことである。
「まっすぐにまっすぐに。ただまっすぐに。難関にぶち当たればさらにまっすぐに。念仏道をまっすぐに。」

六、青年よ。善き友と良き師長とを得て、常に光の中を行け。
 善友善知識なくして向上せる一人の人なく、悪友悪知識なくして堕落せる一人の人なし。蓮師の御一代聞書に言わく。
 「その人を知らんと思わば、その友を見よといえり。善人の敵とはなるとも悪人を友とすることなかれという事あり」と。

七、青年よ。金剛の信心に生きて世の光となれ、一生聞法精進不退転の行者となれ。光と喜びと敬と愛とは君の上にあるであろう。