『歎異鈔集記』  高原覚正著 本文へジャンプ

ま え が き

 「遇い難くして、今、遇うことを得たり。聞き難くして、已に、聞くことを得たり。真宗の教・行・証を敬信して、特に、如来の恩徳の深きことを知んぬ」

 これは、宗祖・親鸞聖人が、本願の教法に出あわれた表白であります。人間があって、本願に出あうのではなく、本願に出あうとき、はじめて、人間とならしめられるのであります。この道理を、親鸞聖人は、生涯をかけて説かれるのであります。

 さきに、人があって経験があるのではなく、経験あって、人は人となるのであります。この道理を知ることを人間の目覚めといい、この道理を忘れるとき、人間は自己を失い、転落するのであります。

 この精神が、唯円をとおし、仏道の歴史をつらぬいているのであります。

        昭和四十七年七月

                       
高 原  覚 正


もくじ に戻る / 一 共同体の意志 に進む