あとがき

『歎異抄講読(第六章について)』細川巌師述 より

目次に戻る

 細川先生歎異抄講読第六章を頂き、皆様と共にお歓び申し上げます。

 仏道求道の道程において先ず大切なのは、よき師よき友でなければならない。

 長い間の布教により関東一円に親鸞を師と仰ぐ多くの弟子を擁していた筈なのに、親鸞は弟子一人も持たず候と言い切られたことは人間として最大の謙虚を述べたもので、いくら頭を下げても下げきれない程の純粋な他力本願に感動いたします。

 第六章は人間のつながりの問題をといたもので、人間の真の連帯は尊敬と友愛に培われた真の友情こそが、師弟、親子、夫婦の根底でなくてはならない。

 念仏の行者は同朋であり、弟子の私有化は日々の傲慢から生ずるものであり、人を私有化し、道具化しその上、如来よりたまわった念仏をも私有化することは許されない。

 第六章については、昭和五十三年四月から昭和五十三年十二月まで、日野市中央公民館での講義をまとめたものです。テープからのおろし及び清書は佐々木文子・辻内佐喜氏、印刷に際しては、広島大学助教授松田正典先生のお世語を頂きました。厚くお礼申し上げます。

田中 佳一郎

昭和五十五年五月

歎異抄講読(第六章について)
細川 巖 講述
昭和五十五年六月三十日 印刷
昭和五十五年六月三十日 発行
発行者 田中 佳一郎
印刷者 仁宮 孝雄
発行所 日野市教育を考える会
    事務局(佐々木玄吾)
    日野市日野七八〇一の三

 

ページ頭へ | 目次に戻る